先日ある人に嘘をつかれていたことが、ひょんなことから判明した。
ショックとか怒りとかよりも、「へぇー」って感じだった。
この「へぇー」っていうのは、本当はショックや怒りがあるのかもしれないけど、そうしたくないからの「へぇー」で、なんとか平常心を保とうと心と身体が編み出したものだと思って
いる。
こういうことって、生きていればそこかしこに転がっている石みたいなものだと思う。
なんで正直に言ってくれなかったのか?
嘘つく必要なんてどこにあったの?
掘り返そうと思えばいくらでも掘り返せるけど、掘り返して良いことなんてひとつもない。
ドツボにはまって自分を苦しめていくだけである。
ちょうどその頃、フィギュアスケートの羽生選手が氷の穴に足を取られて4回転が出来ず減点になった時だった。それについて羽生選手がコメントした言葉にすごく助けられた。
この人は本当に正しい人なんだなと思った。彼の誰にも負けない圧倒的な強さが垣間見
えた気がした。
「氷に嫌われちゃったな。僕悪いことしたのかなって思ってます。一日一善だけじゃなく
て、一日十善くらいしないといけないかな」
このコメントを聞いて、モヤモヤしていた心がスッキリと晴れた。
人や物を責めたところで新しい一歩は踏み出せない。起こったことは起こったこととして、
なんとか気持ちを落ち着かせて、徳を積もうではないか。
そこには、きっと光が差すことを信じて。
2022.2.28 C.Saito