私は重度訪問介護の研修を経て現場に入って行く。難病や障害を抱える人の気持ちに寄り添うために介助技術だけではなく、思いやりの心にも磨きをかけていきたい。重度訪問介護の仕事に興味を持った理由は、新聞記事にALSに罹患した方が24時間365日ヘルパーの手を借りて生活していることを知ったからである。
私は聴覚障害を持っていて補聴器を両耳に付けている。補聴器をしてもすべて聞こえるようになるわけではなく、音が入るが言葉としてははっきりしないという聞こえ方だ。だからこそ目で見る情報を大切にしている。相手の口の動きや表情を見ながら会話をする。私も日常的に支援を受けている。大学の授業を受けている際に手話通訳やノートテイクをしてくれる支援者がいなければ充分な情報を得ることができない。テレビや映画を見る際に字幕が無いとつまらない。支援者の存在によって学んだり、日常生活を楽しんだりできるのだ。自分が介護の仕事をできるのかと悩んだが、「普段支援を受ける側の私にも何かできることがあれば力になりたい」という思いから重度訪問介護の研修を受けることに至ったのである。
介助の際には「見ること」を大切に利用者様の気持ちに寄り添った介助ができるようになることを目指したい。