経管栄養とは?
経管栄養とは、口から十分な栄養が摂取出来ない場合に、必要な栄養を直接的に胃や腸に注入し摂取することです。
皆さんも毎年の年末年始には、よく耳にすると思われます。
「もちが喉につかえて・・・」
「そばやうどんが喉につかえて・・・」
「肉を噛み切れなくて・・・」
そうなんです。加齢に伴って顎や喉の筋肉が衰え、そのようなことが起きるのです。
ただ高齢者だけではなく、障害者のなかでも疾患によっては口からの栄養摂取が出来なくなっていきます。
すると次第にやせ衰えて、体力がなくなっていきます。それを防ぐために、人工的な栄養補給法として経管栄養があります。
もっとも経管栄養には様々な方法があります。
但し、ここでは私たちのご利用者様へのケアで代表的な「経鼻経管栄養」と「胃ろうと腸ろう」をメリットとデメリットを加えてみていきたいと思います。
その他の方法にもご興味がある方は、備考欄に名称を載せておきますので検索してみてください。
「経鼻経管栄養」とは?
経鼻経管栄養は、鼻からカレーテル(管)を挿入して胃や十二指腸、空腸などに栄養を注入する方法のことです。
メリットは、穴を開けるための手術が必要ありません。口からの栄養摂取が可能になれば、すぐにやめることができます。
デメリットは、細いチューブを鼻から挿入し、食道を通して胃まで入れます。装着時に不快感があります。認知症の方の場合は、本人が引き抜いてしまうこともあります。チューブの交換時は苦痛を伴う可能性があります。
「胃ろう・腸ろう」とは?
胃ろう・腸ろうは、腹部から胃や腸に小さな穴を開け、専用器具を設置した上から栄養を送り込む方法のことを言います。
メリットは、胃や腸などの機能を生かしての栄養補給が可能なことです。
口から食道にかけての消化管に何らかの障害がある場合、直接的に胃や腸へ栄養を注入できます。誤嚥や肺炎の危険性を下げながら健康状態を回復させられます。胃ろうに比べて、腸ろうは、栄養剤が逆流する可能性が低いです。
デメリットは、身体に穴を開けるための手術が必要です。
穴を開けた部分は皮膚トラブルを起こすことがあるため、消毒などを行い清潔に保つ必要があります。
半年に一回、定期的にカテーテルを交換する必要があります。認知症の方の場合は、本人がカテーテルを抜いてしまうことがあります。腸ろうは直接栄養を腸に注入することで、下痢を起こしやすくなります。
胃ろうに比べて腸ろうは、栄養剤の注入をゆっくりと行う必要があります。またカテーテルが細くて詰まりやすいく、定期的に交換してもらうために通院する必要があります。
これまで口から十分な栄養を摂取することが困難になった場合に、必要な一部の代表的方法をみてきました。なかでも一時的にそれらが必要な場合には、「経鼻経管栄養」が身体的な負担を軽く抑えられるのではないでしょうか。
しかしながら長期的に十分な栄養を摂取することが求められる場合には、「胃ろうや腸ろう」が必要になります。
それにしても、私たちは口から食事をし、舌で味わうことに幸せを感じます。したがって、「経管栄養」を取り入れた場合でも、ときには危険を伴わない程度にその幸せを感じたいものです。
<備考>
●経管栄養
・経口栄養
・経腸栄養~経鼻経管栄養、経ろう栄養(胃ろう・腸ろう)、間歇的口腔食道経管栄養法
●経静脈栄養
・抹消静脈栄養
・中心静脈栄養