小さなヒーローの優しさに涙
東京へ戻る主人を新大阪駅まで送る途中のことです。
買い物をしようと車を止め私が助手席から降りると、杖を持っている私の代わりに、こうちゃんがドアを閉めてくれました。
しかし身体が完全に出きる前に思いきり閉めたため、その勢いでバランスを崩した私は、路上に転倒して地面に激しく頭をぶつけてしまいました!
頭を打ってかなり大きな音が響き、主人は「危ない!」とこうちゃんを強く叱りつけました。
まだ力の加減ができない3歳児だとしても、危険度にあわせて叱り方に強弱をつけるのはとても重要なこと、こうちゃんはパパに強い口調で怒られて号泣してしまいました。
主人を送り自宅に戻ると玄関に入ってすぐ、再びこうちゃんが泣き出しました。 「パパに怒られたぁ(T_T)」 こうちゃんを抱っこすると、その口からこんな言葉が・・・
「ママごめんね。今度から気 をつける」「こうちゃん毎日パパがいないと淋しい、だってこうちゃんまだ小さいからママがこけたときに起こしてあげられへん(T_T)]
泣けました。泣きながら強く抱きしめました。パパに怒られたショックよりも、一人で立ち上がれない私のことを、そして私を助けることができない自分を気にしていたこうちゃんの想いに胸を打たれました。
これまでも転倒する私を見て「ママ、家の中でも杖ついたらいいねん!」と言ってくれたこうちゃん。
大人の、いや私の固定概念でしょうか?「家の中で杖をつく」という発想はありませんでした。
こんなにも優しい我が子と、安心してどこへでも遊びに行きたい!と思い、新車(車イス)を購入することに決めました♪
「ありがとう」小ネタ集
☆東京で友人宅にタクシーで遊びに行くのに住所を書いた紙をわたしました。
目的地付近まで行くと私とこうちゃんを車に残し、わざわざマンションの位置を確認に行ってくれた女性ドライバーさん「ありがとう!」
☆その帰りのタクシーで、結構な金額だったにもかかわらず「ぼく、ママを大事にするんだよ。」と料金を受け取らなかったドライバーさん「ありがとう!」
☆私がお箸が使いにくそうに見えたのか「もしよかったら使って下さい。」とさりげなくフォークを持ってきてくれた店員さん「ありがとう!」
☆買い物中、立てかけていた杖が倒れて床に落ちたとき、遠くから「私が拾います!」と かけて来てくれたお客さん「ありがとう!」
「新車購入」
そんなこんなで「4th Life」へ向け「車イス珍道中」の幕開けです (^_^)/
車イスを使用して外出するのは人生で3度目です。
最初は脳内出血で倒れたときでした。
発症から4か月後の退院時は杖で歩くことができましたが、入院中のリハビリ当初は椅子に座っているのがやっとの状態でした。
それでも週末になると友だちが車イスでよく遊びに連れ出してくれました。
2度目はこうちゃんを授かったときです。
ハイリスク出産ということもあり、普通よりもかなり早い段階で大阪に里帰りしました。
お腹が大きくなるにつれて身体のバランスが悪くなり、自然とマヒのある左足をかばうような歩き方になりました。
そのため右足の付け根に痛みがでて、転倒防止のため歩行にドクターストップがかかり、完全車イス生活になりました。
2007年5月末の出産予定日に備えて2月から入院し、万全の態勢でお産に臨みこうちゃんが産まれました。
こうちゃんが産まれるまでの数か月間は、電車とバスを乗り継ぎながら買い物や食事など、車イスで主人と本当によく出かけました。
そのとき主人が「車イスを押しているとすごく人の視線を感じる」と言ったのですが、それは私が過去に感じた思いとまったく同じでした。
これは持論ですが、たとえどんな状態でも外に出て人とかかわり合うことは大切です。
17年前もそうでしたが、人の視線が突き刺さり傷つくことも確かにあります。
でも世の中捨てたもんじゃない!
心温かい人はたくさんいますし、そんな人の優しさに触れること、そして心から「ありがとう」と感謝する心の動きこそが「難病」の治療法の一つのような気がします。
かつてお腹の中にいたこうちゃんを膝にのせ、以前よりも多くの視線を浴びながら車イスを押してくれる主人とともに「4th Life」までの道を模索しています。 (^^ゞ
※ちなみに良くも悪くも「大阪人」はとにかく馴れ馴れしく、そして優しいです。(*^^)v
合言葉は「いける?」の一言
これには「いけるいける!」と2回返事をするのがマナーですが、主人はこの「いける?」が耳について仕方がないようです (^_^;)
~旦那後期~
関東の人間として「いける?」以上に驚くのが「関西のおばちゃんのアメちゃん所持率の高さ」です。
こうちゃんと出かけると「小さいのに賢いなぁ」といってアメちゃん、
「元気によくしゃべるわぁ」といってアメちゃん、
病院で「ぼくがんばったなぁ」といってアメちゃん、
さらにはなんの前振りもなく「アメちゃんいる?」・・・
もし何かの言い伝えとかがあるなら、だれか教えてください